君たちはどう生きるか吉野源三郎岩波文庫ISBN:4003315812
意識的にものを考える、というのは実に草臥れる行動だ。無意識下で、平行方向に、同時に存在し、際限なく広がっていく、とりとめもないいくつもの考えを、ひとつの方向に向かわせ、何か答えを得る、とこう言うだけなら簡単なのだけど、私は上手くそれが出来ない。文字にして文章を作成すればある程度は行きつ戻りつしながらも、纏まった(と自分では思える)考えを人に伝えることが出来るのだけど。忍耐力がないのだろうね。
この作品に出てくるちびっこ中学生、コペル君は実に良くものを見て考えている。そんなコペル君をコペル君の叔父さんがさらに観察していて、コペル君のものの見方や考え方が、何を元としどうやって発展していくか、発展させることが出来るか、そう言った示唆をコペル君に与えてくれる。微笑ましい甥と叔父のやりとりの中に、きちんと倫理や哲学の話が組み込まれていて、そのことに私は驚いてしまうのです。こんな愛らしいお話の中に人に何かを考えさせる仕掛けが組み込まれているなんて、何て素晴らしいことなんだって。
それと、コペル君の愛らしさとか素直さとか、賢さも何もかも、全然鼻につかない。ちゃんと少年として描かれているからでしょうね。ああ、そう言えばコペル君って、何だかいさましいちびのトースターを思い出させるなあ。


7℃とかありえない、と言ったその深夜に、北風の窓ガラスをがたがた鳴らす音。我が家は灯油ストーブなので、今年は何台出すか思案のしどころです。こたつは流石にもう出して欲しいなあ。エアコンの暖房は乾燥する上に電気代喰いますし。職場で目薬が欠かせなくなりました。何処ぞの自治体? では取説と共に寂しいご老人に練炭配布したらしいですね。どんなブラックジョークですか。と、こんな些末なことでも考えること。