先週後半、大阪に三日、金沢に一日滞在した。というか、大阪に行くという家主について行った。旅行めんどくさい、外出るのも億劫という怠惰な人間なので、無理矢理にでも外界に連れ出してくれる人が傍らにいる、と言うのは正直有り難く思う。
外を出歩いて町中彷徨って妙な建物や雑多な街並みの写真を撮る家主を日陰でぼんやり(暑さにうんざり)待ちながら、道行く人々を見る、というおおよそ観光とはほど遠い旅行だったのだけど、強い陽射しの下を延々歩くという行為以外はおおむね興味深く、やっぱりねと言われるとは思うのだが、酒呑んで地元の人と話すのが一番面白かった。
不思議と酒を呑んでもほとんど酔わず、酔わないことを良いことに、昼からビールをあおり、三時にもビール。夜は宿近くのバーに入って、ビールとカクテルぐいぐいやりながら、店員さんと常連さんの、大阪の雑多で面白い場所はどこだ、というプレゼンを拝聴。ほとんど思い出せないんだけど。程よく酔いが回って来た頃、小説やら映画やら漫画の話になって、なんか文化的な素養のある人たちだなーと思いながら、幸せな気分に浸る。途中、何故か諸星先生の話になって『栞と紙魚子』が如何に面白いかという話で盛り上がった時に「さすが東京の人は違う」と感心され、東京人に関する誤った知識を与えてしまったまま「そうですかねー、たはは」と苦笑い。つか、その発言をしたおっさん自身、結構なオタクだ。

人と通じ合える喜びは、そこにいたるまでの過程が困難なほど大きいものだよな。旅行中、移動時にアーサー・ビナードのエッセイを読んでいて、彼もそんな風に思いながら日本に馴染んでいったのだろうか、とふと思った。